ルトガー・ブレグマン「Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章」(上)
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序章 第二次大戦下、人々はどう行動したか
第1章 あたらしい現実主義
1 「ほとんどの人は、本質的にかなり善良だ」
2 プラセボ効果とノセボ効果
3 西洋思想を貫く暗い人間観——なぜ人間を悪者と考えるのか
4 人間の全盛を擁護する人に起きる3つのこと
第2章 本当の「蠅の王」
1 少年たちの残虐さを描きノーベル文学賞に
2 実際に無人島に取り残された少年たちを探して
3 少年たちを助けた船長の証言
4 火を打ち、鶏舎、菜園、ジムもつくった
5 物語が持つ危険な側面
Part1 自然の状態——ホッブスの性悪説vsルソーの性善説
第3章 ホモ・パピーの台頭
1 ダーウィンの進化論、ドーキンスの利己的遺伝子
2 ネアンデルタール人が絶滅した理由
3 キツネからイヌをつくり出せるか
4 賢いキツネが欲しいなら
5 ホモ・サピエンスが生き残ったのはなぜか
第4章 マーシャル大佐と銃を撃たない兵士たち
1 「愛情ホルモン」オキトシトシンの影響は限定的
2 人類の祖先は、常習的な殺人者だったか
3 「誰もが誰かを撃ち損なった」
4 ベストセラー本には書かれていない「科学の真実」
第5章 文明の呪い
1 いつから人類は戦争を始めたのか
2 支配者なしでも神殿は都市が築かれた
3 定住、私有財産、戦争、権力、リーダー
4 農耕文明は休みを奪い、女性に重い負担を課した
5 最初に生まれた国家は、奴隷国家
6 長い間、文明は災いだった
第6章 イースター島の謎
1 巨大なモアイ像をいかにして立てたのか
2 「絶滅する未来」という教訓
3 ジャレド・ダイアモンドの誤り
4 災厄をもらたしのはヨーロッパ人だった
5 奴隷商人とウイルスに滅ぼされた
Part2 アウュヴィッツ以降
第7章 「スタンフォード監獄実験」は本当か
1 スタンフォード大学の地下室にて
2 子どもを対立させたい実験者
3 「あの人たちは、子どものことを完全に誤解している」
4 操作されていた看守役たち
5 BBCが再現実験を行うも
第8章 「ミルグラムの電気ショック実験」は本当か
1 「65パーセントが感電死レベルの電圧を与えた」
2 "映像監督"ミルグラム
3 それでもスイッチを押し続けた人をどう説明するか
4 アイヒマン「悪の陳腐さ」は本当か
5 ナチスからユダヤ人を守ったデンマークの奇跡
第9章 キティの死
1 「殺人を目撃した三七人は警察を呼ばなかった」
2 傍観者効果
3 アムステルダムの運河で起きた救出劇
4 九〇パーセントの確率で、人は人を助ける
5 ジャーナリズムによる歪曲
P37
人間はなぜ、ニュースが伝える破滅や憂鬱に影響されやすいのだろう。それには、二つの理由がある。一つは、心理学者が「ネガティビティ・バイアス」と呼ぶものだ。わたしたちは良いことよりも悪いことのほうに敏感だ。狩猟採集の時代には戻れば、クモやヘビを一〇〇回怖がったほうが、一回しか怖がらないより身のためになった。人は怖がりすぎても死なないが、怖れ知らずだと死ぬ可能性が高くなる。
二つ目の理由は、アベイラビリティ・バイアス、つまり、手に入りやすい(アベイラブル)情報だけをもとに意思決定する傾向である。
P99
わたしたちが互いに目を見る時にも、似たようなことが起きる。それは人間の目には白い部分があるからだ。これも人間だけに見られる特徴であり、おかげで、他者の視線の動きを追うことができる。霊長類は二〇〇種以上いるが、人間以外は皆、白目の部分(強膜)に色がついている。
P130
あるアメリカ人の人類学者は、三三九件という多数のフィールドワークに基づいてこう述べている。「狩猟採集者は一般に——ほとんど脅迫的なまでに、——他者に支配されないことを重視する」
P147
フランクリンは、「野蛮な生活を経験したヨーロッパ人は、再びわたしたちの社会で暮らすことに耐えられない」と記している。野蛮な生活を経験したヨーロッパ人とは、アメリカの先住民に捕えられ、後に解放されたヨーロッパ人のことだ。フランクリンは、「文明人である」はずの白人男女が、植民地の生活に耐えられず、「隙を狙って再び森の中に逃げようとする」様子を書き記した。